Podcast Episode: Japan Compass #016

Pip: Japan Compassへようこそ。人口が減る国で、社会をどう動かし続けるか——Hazzy Wildがその問いに正面から踏み込んでいます。

Mara: 今回は労働力不足と仕事の再設計をテーマに扱います。採用で穴を埋めるのではなく、仕事そのものを問い直すという視点です。では、2035年の働き手問題から始めましょう。

2035年、「採用できない」が普通になる社会

Pip: このセグメントの核心は、人手不足を「採用競争の問題」として捉えると、もう解けないという指摘です。地方では介護施設も建設会社も自治体も物流会社も、同じ少ない人口を奪い合っている。問題の構造が変わっています。

Mara: ポストはその前提として、労働力の規模を示しています。国立社会保障・人口問題研究所の2023年推計によれば、15歳から64歳の人口は2020年の7,509万人から2045年には5,832万人まで減少する見通しです。

Pip: 約1,700万人分の穴。それを「募集すれば誰か来る」という前提で経営し続けることはできない、ということですね。

Mara: ただし、人口減少がそのまま労働力減少を意味するわけではないとも述べています。女性、高齢者、外国人材の参加を広げる余地はある。しかしそれだけでも不十分だ、と。

Pip: 不足するのは「労働者という抽象的な数字」ではなく、特定の職種だという点が重要です。建設業では55歳以上が36.7パーセント、29歳以下が11.7パーセント。橋が古くなると同時に、橋を直せる人も高齢化していく。

Mara: 介護の数字も具体的です。2022年度に約215万人だった介護職員は、2040年度には約272万人が必要と推計されています。その差、約57万人。しかしその頃、日本全体では働き手が減っています。

Pip: だから「57万人増やそう」だけでは政策として不十分だ、というわけです。ここでポストが提案するのが「Workforce 2035——仕事の再設計」です。

Mara: 具体的には、仕事を四つに分解することを提案しています。「人間にしかできない」「AIと共同でできる」「完全自動化できる」、そして——これが重要だと強調されているのですが——「そもそもやめられる」の四種類です。

Pip: 「無駄を高速化しただけ」という一文が刺さります。DXの前に「仕事を消す改革」が必要だ、という順序の話です。

Mara: 物流についても数字が更新されています。以前広く使われていた「34パーセント不足」という推計は、その後の対策や需要変化を反映して見直され、2026年公表資料では追加対策がなければ平均約7パーセント、最大約25パーセントの輸送力不足が生じ得るという新しい推計になっています。

Pip: 数字が変わったこと自体を、ポストが明示的に更新している点は誠実です。

Mara: 外国人材については、受け入れは必要になる可能性が高いとしながらも、「人数論ではなく制度設計」が必要だと述べています。シンガポールの事例も参照しており、外国人比率の上限設定と雇用課税を組み合わせながら、省人化も同時に進めるという三つの組み合わせを紹介しています。

Pip: 「外国人受け入れ対受け入れ反対」という二択ではなく、受け入れ・生産性・待遇・国内人材育成をセットで考える、という整理ですね。

Mara: 政策提案は五段階で示されています。まず「やめる」、次に「自動化する」、「集約する」、「参加者を増やす」、そして最後に「外国人材を受け入れる」という順序です。順番が重要だと強調されています。

Pip: そしてポストの結びにある問いが、この議論全体を一行で要約しています。

Mara: 「人手不足対策の第一歩は、人を探すことではない。その仕事に本当に人が必要なのかを問い直すことである。」

Pip: 賃上げと省力化が対立しないという指摘も見落とせません。人件費が安いままでは企業が機械より人を使い続ける誘因が生まれ、省力化投資が進まない。賃上げがあってはじめて「少ない人数で高い付加価値を」という動機が生まれる、という循環の話です。

Mara: 「人が減ること」と「社会サービスが崩壊すること」は同じではない——そこを切り離せるかどうかが2035年までの勝負だ、とポストは締めくくっています。仕事を再設計するという発想は、インフラをどう維持するかという問いとも深く重なります。


Pip: 採用で穴を埋めようとしてきた時代から、仕事そのものを問い直す時代へ。その転換を、具体的な数字と制度設計の言葉で描いた回でした。

Mara: 労働・インフラ・都市設計・少子化——これらが別々の政策ではなくひとつの設計問題として接続されていく。次回もその続きを追います。

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