Pip: Japan Compassへようこそ。今回はHazzy Wildが手がける2035年日本再設計プロジェクトの最新回、介護の話です。
Mara: 超高齢社会の日本で、介護の担い手が構造的に不足していく中、「施設を増やす」でも「職員を増やす」でもない第三の設計図を提示しています。家族、専門職、テクノロジー、地域、それぞれの役割をどう組み直すか、というところから始めましょう。
家族依存の介護から、地域とテクノロジーへ
Pip: このセグメントの核心は一つの問いです。介護が必要になっても、自分らしく生き続けられる社会をどうつくるか。「施設を何床増やすか」という発想自体を問い直しています。
Mara: 現状の数字から入ると、厚生労働省の推計では介護職員の必要数は2026年度に約240万人、2040年度には約272万人。2022年度の約215万人と比べると、2040年度までに約57万人の追加確保が必要です。
Pip: 57万人、という数字だけ聞くと「募集すれば終わる」と思いたくなりますが、その間にも退職、高齢化、他産業との人材獲得競争が続く。穴の空いたバケツに水を注ぐ話です。
Mara: そこでこのポストが提示するのが、役割の再分配です。直接引用すると、「家族は愛情を担う。介護職は専門ケアを担う。医療職は医療を担う。テクノロジーは作業を担う。地域は任意のつながりを担う。行政は制度をつなぐ」という構造です。
Pip: つまり「介護職を介護へ戻す」という発想で、前回の教育再設計で「教師を教育へ戻す」と提案したのとまったく同じ論理ですね。
Mara: その通りで、記録・移動・物品管理などの非専門業務をAIやロボット、事務職へ分担することで、介護職が身体介護や認知症ケア、心理支援に集中できる環境をつくるというのが具体的な方向です。
Pip: 介護ロボットについても「人を減らす機械」という批判に正面から向き合っていて、厚生労働省が2025年4月から「介護テクノロジー利用の重点分野」を9分野16項目に改定したことも引いています。
Mara: 目的の言葉を借りれば、「機械にできる作業を機械へ任せ、人間が人間を見る時間を増やす」ということです。
Pip: 介護離職の問題も見逃せません。介護をしている約629万人のうち有業者は約365万人。親の介護が始まることで、熟練社員や管理職が職場から消えていく。
Mara: そのため「Family Care Support」として、介護認定から医療、住宅改修、仕事との両立、費用、相続まで一つの窓口でまとめて案内する仕組みを提案しています。以前の共生City構想で提案したFamily Support Centerを、子育てだけでなく介護・生活支援全般へ拡張するというものです。
Pip: 財源の話も避けていなくて、介護職の賃上げと社会保障財政は切り離せないと明示しています。誰がいくら負担するかまで決めなければ政策にならない、と。
Mara: 地域格差への対応としては「Regional Care Utility」、つまり人口減少地域で複数自治体が訪問介護や訪問看護、ケアマネジャーを共同運営する仕組みも提案されています。行政区域ではなく生活圏で介護を設計するという考え方です。
Pip: オランダのBuurtzorgやデンマークの在宅重視モデルも参照しながら、施設か在宅かという二択を捨てて「Care Continuum」、状態が変わっても支援が切れない連続的な仕組みへ、という方向で締めています。
Mara: 地域全体の介護力を測る「Care Resilience Index」を毎年公表する提案も含まれていて、「施設が何床あるか」ではなく「介護が必要になっても地域で暮らせるか」を指標にする、という転換を打ち出しています。
Pip: 制度の設計から指標の設計まで変えようとしているわけで、次は日本社会全体の構造とどうつながるか、という話になりますね。
Mara: 介護、医療、教育と再設計が積み重なるにつれて、共生Cityの輪郭がかなり具体的になってきました。
Pip: 住宅、仕事、子育て、老い、全部が同じ生活圏の話だと気づくと、次回が楽しみになります。

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