Pip: Japan Compassへようこそ。今回は「社長がいなくなったら会社も消える」という問題を、Hazzy Wildが正面から掘り下げています。
Mara: 今日のエピソードは事業承継の一点集中です。後継者がいないまま廃業する会社をどう防ぐか、既存の制度が機能しているのに何が足りないのか、そして「何を残すべきか」という判断軸まで。それでは、後継者不在の実態から始めましょう。
後継者不在という廃業の正体
Pip: 今回の問いの核心は「赤字だから閉める」と「継ぐ人がいないから閉める」は別物だ、という点です。この区別が政策設計の出発点になっています。
Mara: 記事はOECDの2026年対日経済審査を引いて、こう示しています。「退出した企業すべてが赤字だったわけではありません。さらに退出企業の63%は資産が負債を上回っていました。」
Pip: つまり帳簿上は健全なまま閉まっている会社が相当数ある。経営資源は残っているのに、引き継ぐ仕組みが間に合わなかった、ということです。
Mara: 経営者の年齢データも重要で、2025年に休廃業・解散した企業の経営者平均年齢は71.5歳、約4分の1は80歳以上でした。さらにOECDは、中小企業のおよそ半数が後継者を決めていないと整理しています。
Pip: 半数、ですか。しかも承継の形も変わっていて、親族内承継はすでに32%まで下がり、社内の親族外承継が36%と逆転しています。「家を継ぐ」から「事業を継ぐ」へ、という変化が数字に出ている。
Mara: 記事が強調するのは、制度の「有無」は問題ではないという点です。事業承継・引継ぎ支援センターは全国48か所、2025年度の新規相談は2万4,030者、M&A成約は2,265件と過去最多でした。
Pip: 制度はある。では何が足りないのか、というのが次の問いです。
Mara: 記事は三つの壁を挙げています。相談が遅すぎること、小規模案件は売買として成立しにくいこと、そして社長本人が会社そのものになっていること。特に三つ目は、買い手から見ると「社長が辞めた瞬間に売上が消えるのではないか」という不安につながります。
Pip: 後継者を探す前に、会社を「引き継げる状態」にする必要がある、ということですね。顧客情報を残す、契約を書面化する、権限を分散する。承継は最後の売買契約だけではなく、経営改革そのものだと。
Mara: M&Aの質の問題も無視できません。中小企業庁は2025年の「中小M&A市場改革プラン」で、支援の質、利益相反、不適切な買い手、手数料といった問題を明記しています。買い手を増やすだけでは足りず、安心して渡せる市場にしなければならない、と記事は言っています。
Pip: 記事の提案は新しい組織を作ることではなく、既存の仕組みを「早期確認から承継後3年間の検証まで」一つの流れとして管理することです。そして成功指標を成約件数だけでなく、承継3年後の事業継続率や雇用・付加価値まで広げる。
Mara: 欧州委員会も2026年6月に事業承継に関する新しい勧告を公表し、後継候補層の拡大やデジタルマッチングを加盟国へ推奨しています。英国のEmployee Ownership Trustのように、従業員が会社を所有する形も選択肢の一つです。日本への直接移植ではなく、「承継先は家族か外部企業だけではない」という示唆として。
Pip: 記事の結論は明快です。「会社を守ることではありません。価値を残すことです。」廃業ゼロを目指すのではなく、続ける・承継する・円滑に退出する、の三択を、会社がまだ元気なうちに選べる社会へ。
Mara: 次回のJapan Compassもお楽しみに。
Pip: 「子どもが継がないから閉める」が第一選択にならない社会、というのは静かに大きな目標ですね。
Mara: 起業を支援する仕組みと、引き継ぐ仕組みと、上手に終える仕組みを同列に置く、という発想が次のエピソードにもつながってきそうです。

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