Japan Compass #081

高齢者や障害者が投票所に行けない現状を考察し、郵便投票制度の改善提案を探る重要な記事。

投票所へ行けない人の一票は、届いているか

――郵便投票は原則「要介護5」。高齢化する日本で考える、選挙権と投票機会の保障

2026年10月22日|2035日本再設計プロジェクト|民主主義・高齢化・選挙制度編

選挙の日。

近くの小学校へ行き、投票用紙を受け取り、自分が選んだ候補者の名前を書いて投票箱へ入れる。

日本では、ごく普通の光景です。

選挙権は、民主主義を支える重要な権利です。

18歳以上の日本国民は、原則として国政選挙の選挙権を持っています。

しかし、ここで一つ考えてみたいことがあります。

選挙権があっても、投票所へ行けない人はどうすればよいのでしょうか。

例えば、80歳の人がいるとします。

長年、日本の選挙で投票してきました。

仕事をしていた頃も、子どもを育てていた頃も、地域の政治や日本の将来について、自分なりに考えて投票してきました。

しかし、年齢を重ね、身体の自由が利かなくなりました。

自宅の中では、家族や介護サービスの支援を受けながら生活しています。

ただ、外出するには大きな負担があります。

車いすへの移乗が必要です。

外出には介助者の付き添いが必要です。

体調によっては、長時間座っていることも難しいかもしれません。

そんな人にも、選挙の日はやってきます。

政治に関心がなくなったわけではありません。

自分の意見がなくなったわけでもありません。

投票したくないわけでもありません。

それでも、投票所へ行くことが難しいのです。

では、自宅から郵便で投票できるのでしょうか。

日本には、郵便等による不在者投票制度があります。

しかし、誰でも自由に利用できるわけではありません。

身体障害者手帳や戦傷病者手帳について一定の要件を満たす人、あるいは介護保険で要介護5と認定された人などに対象が限定されています。

例えば、要介護4の人で、身体障害者手帳などについて別の対象要件を満たしていない場合、介護認定だけを理由に郵便等投票を利用することはできません。

ここに、一つの疑問があります。

投票所へ行けるかどうかという現実と、制度が定める要件は、十分に一致しているのでしょうか。

もちろん、選挙には厳格なルールが必要です。

本人が投票していることを確認する必要があります。

誰に投票したのかという秘密も守らなければなりません。

家族や介護者、施設の職員などが、本人の意思に反して投票を誘導することも防ぐ必要があります。

そのため、郵便投票の対象を無条件に広げることには慎重な検討が必要です。

しかし、本人確認や不正防止が大切だからといって、投票所へ行けない人が投票を諦める状況を放置してよいのでしょうか。

今日のJapan Compassでは、選挙の結果や特定の政党の政策ではなく、もっと基本的な問題を考えます。

選挙権を持つ人が、実際にその一票を投じられる社会になっているのか。

2035年の日本を考える上で、重要な問いだと思います。


Executive Summary

結論から言います。

Japan Compassは、日本の郵便等による不在者投票について、対象要件と実際の投票困難の状況がどこまで一致しているのかを検証するべきだと考えます。

ただし、直ちに誰でも郵便投票できる制度へ変更することを結論にはしません。

投票の秘密、本人確認、投票の自由、公正な選挙の実施を守る必要があるからです。

日本には、既に複数の投票方法があります。

通常の投票所での投票。

期日前投票。

身体の事情などで自分で候補者名を書けない人のための代理投票。

視覚障害のある人のための点字投票。

指定された病院や老人ホームなどで行う不在者投票。

そして、一定の要件を満たす人のための郵便等による不在者投票です。

つまり、日本には投票を支援する制度がないわけではありません。

問題は、それらを利用しても、実際に投票することが難しい人が存在するかどうかです。

日本の人口構造も変化しています。

総務省統計局が2026年10月20日に公表した人口推計によると、2026年5月1日現在の65歳以上人口は3,622万7千人でした。

75歳以上人口は2,156万4千人です。

これは2020年国勢調査を基準とする確定値です。

ただし、これらは人口統計であり、投票所へ行けない人の人数ではありません。

高齢者であっても、自分で投票所へ行ける人は大勢います。

また、若い人でも、障害や病気によって移動が難しい場合があります。

そのため、年齢だけを理由に郵便投票の対象を判断することは適切ではありません。

大切なのは、実際の投票機会です。

Japan Compassは、次の四つを提案します。

第一に、既存の郵便等投票制度について、対象者、証明書の交付、実際の利用状況を整理すること。

第二に、要介護3・4などで移動が難しい人について、既存の投票方法で対応できているかを調査すること。

第三に、郵便等投票証明書の取得や投票用紙の請求など、手続上の負担を検証すること。

第四に、対象要件を見直す場合には、投票の秘密と不正防止を維持できる具体的な方法を先に検証することです。

目的は、投票率を数字だけで高めることではありません。

投票する意思のある有権者が、身体的な事情だけで一票を諦めなくて済むこと。

これを、2035年の日本における民主主義の目標の一つにしたいと思います。


1|日本では、75歳以上の人口が2,100万人を超えている

まず、日本の人口構造を確認します。

2026年10月20日、総務省統計局は最新の人口推計を公表しました。

2026年5月1日現在の確定値では、日本の総人口は1億2,281万2千人です。

65歳以上人口は3,622万7千人。

そのうち75歳以上人口は2,156万4千人となっています。

前年同月と比較すると、65歳以上人口は2万4千人増加しました。

75歳以上人口は47万6千人増加しています。

つまり、65歳以上の人口全体の変化に比べて、75歳以上の人口の増加が大きくなっています。

この数字から、すぐに選挙制度を変えるべきだと結論付けることはできません。

なぜなら、年齢と投票能力は同じではないからです。

75歳以上であっても、健康で活動的な人は大勢います。

また、障害がある人でも、適切な環境が整っていれば、自分で投票所へ行ける場合があります。

一方、比較的若い人でも、病気や身体障害などによって外出が難しい場合があります。

したがって、75歳以上人口の増加を、そのまま郵便投票が必要な人の増加と解釈することはできません。

それでも、人口構造の変化によって、投票環境を考える必要性は高まっていると思います。

例えば、移動に介助が必要な人がいる地域です。

家族の車で投票所へ行ける人もいるでしょう。

介護サービスなどの支援を利用して外出できる場合もあるでしょう。

しかし、投票のための外出について、必要な支援を確保できない人がいるかもしれません。

重要なのは、投票したい人が、どのような理由で投票できなくなっているのかを把握することです。

高齢化率だけで制度を判断するのではなく、実際の投票行動を確認する必要があります。


2|日本には、既に複数の投票方法がある

ここで、日本の現在の制度を整理します。

投票所へ行くことが難しい人への支援は、郵便投票だけではありません。

まず、期日前投票があります。

選挙当日に予定がある場合などには、選挙期日前に投票できます。

ただし、投票する場所へ出向く必要があるという点では、通常の投票と共通しています。

次に、代理投票があります。

病気やけがなどによって、自分で候補者の名前を書くことが難しい人のための制度です。

投票所では、投票管理者が指定した補助者が、本人の指示に基づいて投票用紙を記載します。

ただし、家族や知人が自由に投票用紙を書く制度ではありません。

投票所の事務に従事する人から補助者が選ばれ、一人が記載し、もう一人が立ち会います。

本人の投票意思を尊重しながら、投票の公正を守る仕組みです。

また、点字投票もあります。

視覚に障害のある人は、点字によって投票できます。

さらに、都道府県の選挙管理委員会が指定した病院や老人ホームなどでは、施設内で不在者投票を行うことができます。

これは、入院・入所している人にとって重要な仕組みです。

2026年10月1日に更新された鳥取市の資料でも、指定病院等における不在者投票の手続が案内されています。

施設の管理者が投票用紙の請求などを行い、本人は施設内で投票できます。

ただし、すべての病院や介護施設が、この制度の対象というわけではありません。

都道府県選挙管理委員会による指定が必要です。

そして、今回の中心となるのが、郵便等による不在者投票です。

一定の要件を満たす人は、自宅などから郵便または信書便によって投票できます。

つまり、日本の投票制度は、通常の投票所へ行く方法だけではありません。

既に、さまざまな事情に対応する仕組みが存在しています。

その上で考えたいのは、どの制度にも十分に当てはまらない人がいるのではないかという問題です。


3|なぜ郵便等投票は「要介護5」なのか

郵便等による不在者投票制度は、身体の重度の障害などによって投票所へ行くことが難しい人を対象としています。

介護保険の認定では、要介護5の人が対象になります。

また、一定の障害がある人も対象です。

例えば、身体障害者手帳については、両下肢、体幹、移動機能の障害が1級または2級の場合などです。

心臓、腎臓、呼吸器などの障害についても、対象となる等級が定められています。

戦傷病者手帳についても、一定の障害の種類と程度に応じた要件があります。

つまり、郵便等投票の対象は、要介護5の人だけではありません。

ここを混同してはいけません。

一方、介護保険の認定だけで判断する場合には、要介護5という条件があります。

では、要介護4の人はどうでしょうか。

要介護4でも、日常生活に大きな介助が必要になる人がいます。

例えば、ベッドから車いすへ移るために支援が必要な場合です。

自宅から外出するために、複数の人の介助が必要になる場合もあるでしょう。

ただし、要介護4だから必ず外出できないというわけではありません。

同じ介護区分でも、本人の身体状況や生活環境は異なります。

ここで問題になるのは、介護認定の区分と、実際に投票所へ行けるかどうかが、必ずしも一致しないことです。

例えば、要介護4の人が、投票所へ行くことは極めて難しいとします。

しかし、郵便等投票の対象となる別の身体障害等級を満たしていなければ、介護認定だけを根拠に郵便等投票を利用することはできません。

一方、要介護5であれば、介護保険の被保険者証によって制度の対象になり得ます。

この線引きには、制度上の理由があります。

誰が対象になるのかについて、客観的な基準を設ける必要があるからです。

その基準が曖昧であれば、選挙ごとに自治体の判断が異なる可能性があります。

また、本人確認や不正防止の観点からも、一定の要件は必要でしょう。

しかし、客観的な基準があることと、その基準が現実の状況に十分合っていることは別です。

要介護5という線引きによって、本来支援が必要な人が対象から外れていないか。

私は、ここを実際のデータで検証する必要があると思います。


4|対象者でも、すぐに郵便投票できるわけではない

郵便等投票には、もう一つ重要な特徴があります。

それは、事前の手続が必要だということです。

対象となる人は、まず「郵便等投票証明書」の交付を受ける必要があります。

そのためには、選挙人名簿に登録されている市区町村の選挙管理委員会へ申請します。

身体障害者手帳や介護保険の被保険者証など、必要な書類もあります。

その後、選挙が行われる際には、投票用紙などを請求する手続が必要になります。

ここで重要なのが、期限です。

2026年2月8日に行われた衆議院議員総選挙でも、郵便等投票の投票用紙請求は、投票日の4日前までに選挙管理委員会へ到着する必要がありました。

つまり、対象者であっても、選挙当日に思い立って自宅から投票できるわけではありません。

あらかじめ証明書を取得しておく。

選挙が始まったら、期限までに投票用紙を請求する。

送られてきた投票用紙へ記載する。

そして、期限に間に合うように返送する。

こうした手続が必要です。

例えば、要介護5の人がいる家庭を考えます。

本人は郵便投票の対象です。

しかし、本人も家族も制度を知らなかったとします。

選挙の直前になって初めて郵便投票ができることを知った場合、必要な手続が間に合わない可能性があります。

ここには、制度の対象者であることと、実際に投票できることの間に違いがあります。

ただし、これを理由に郵便等投票の手続を無条件に簡略化するべきだとは思いません。

選挙には、厳格な管理が必要です。

投票用紙を誰に交付したのか。

本人が対象者なのか。

重複して投票していないか。

期限までに正しく投票が行われたか。

これらを確認する必要があります。

しかし、必要な確認を維持しながら、利用者に分かりやすい手続へ改善することは考えられます。

例えば、郵便等投票証明書の取得方法を、本人や家族が理解できているか。

投票用紙の請求期限が、必要な時期に伝わっているか。

書類に不備があった場合、早い段階で修正できるか。

こうした点を確認することです。

制度があることを知っているか。そして、期限内に利用できるか。

これも、選挙権を実際に行使できるかどうかに関わる問題です。


5|自分で字を書けない人には、どのような制度があるのか

ここで、さらに難しい問題を考えます。

郵便等投票の対象者であっても、自分で投票用紙に名前を書くことが難しい人がいます。

例えば、手を自由に動かせない人です。

視覚に障害があり、自分で投票用紙を記載することが難しい場合もあります。

そのため、日本には郵便等投票における代理記載制度があります。

ただし、この制度にも対象要件があります。

郵便等投票を利用できる人であることに加えて、身体障害者手帳の上肢または視覚の障害が1級である場合など、法令上の条件を満たす必要があります。

代理記載人についても、あらかじめ届け出る手続があります。

つまり、郵便等投票の対象者であれば、誰でも家族に投票用紙を書いてもらえるわけではありません。

ここで重要なのは、投票の秘密です。

選挙では、誰に投票したかを他人に知らせる義務はありません。

自分の意思で候補者や政党を選ぶ権利があります。

しかし、代理記載では、投票する本人が、代理記載人へ自分の意思を伝える必要があります。

そこで、本人の指示と異なる内容を記載することを防がなければなりません。

また、家族や支援者が、本人の意思に反して特定の候補者への投票を勧めたり、強制したりすることも避ける必要があります。

一方で、本人が自分で記載できないことを理由に、投票の機会を失うことも望ましくありません。

ここに、郵便等投票の難しさがあります。

自分で書けない人の投票機会を守ることと、本人の自由な意思を守ることを、同時に実現しなければならないのです。

私は、この問題について、単純に代理記載の対象を広げれば解決するとは考えていません。

制度を見直す場合には、本人の意思をどのように確認するのか。

誰が代理記載を行えるのか。

不正が疑われる場合、どのように対応するのか。

本人のプライバシーを、どのように守るのか。

こうしたことを、具体的に検証する必要があります。


6|実際に投票できなかった人は、何人いるのか

ここまで、日本の制度を確認してきました。

では、実際に投票所へ行けず、郵便等投票も利用できなかった人は、全国で何人いるのでしょうか。

私は、ここが今回、最も重要な問題だと思います。

しかし、今回確認した公的資料だけでは、その人数を正確に把握できませんでした。

例えば、要介護4の人が全国に何人いるかという数字があったとします。

しかし、その人たち全員が投票所へ行けないわけではありません。

また、身体障害者手帳などによって、郵便等投票の対象になっている人もいるかもしれません。

家族や支援者の協力によって、期日前投票を利用できた人もいるでしょう。

指定施設で不在者投票を行った人もいるでしょう。

さらに、投票しなかった人の中には、身体的な問題ではなく、本人の意思によって投票しなかった人もいます。

したがって、要介護認定者数や障害者数を、そのまま投票できなかった人の人数として扱うことはできません。

また、投票率が低いことだけを理由に、投票環境が不十分だと断定することもできません。

投票するかどうかは、本人の自由だからです。

本当に確認するべきなのは、投票したい意思があったにもかかわらず、制度や環境の問題によって投票できなかった人がいるかということです。

例えば、要介護3・4の人について、実際に投票所へ行くことができたか。

郵便等投票を希望したが、対象外となった人がどの程度いたか。

郵便等投票証明書の申請を行ったものの、書類や手続の問題によって利用できなかった人がいたか。

指定病院や老人ホームの不在者投票を利用できたか。

こうした情報を確認する必要があります。

ただし、全国の高齢者や障害者へ一律に大規模な調査を行えばよいとは限りません。

回答そのものが負担になる人もいるからです。

既存の選挙事務記録を活用できる部分は、そこから確認することが合理的でしょう。

その上で、本人の任意の協力による調査を組み合わせる方法が考えられます。

私は、制度を変える前に、まず現実を正確に知る必要があると思います。


7|海外事例:英国では、理由を示さず郵便投票を申請できる

海外では、どのような制度があるのでしょうか。

参考になるのが英国です。

英国のイングランドでは、有権者は原則として、特別な理由を示さずに郵便投票を申請できます。

身体障害があること。

高齢であること。

介護が必要であること。

こうした理由を証明することが、郵便投票を利用するための前提にはなっていません。

つまり、日本のように特定の障害等級や要介護度を郵便投票の基本的な対象要件としている制度とは、大きく異なります。

ただし、英国でも誰でも無条件で投票用紙が送られてくるわけではありません。

まず、選挙人として登録されている必要があります。

郵便投票の申請も必要です。

申請では、本人確認に関する情報が求められます。

英国政府の案内では、国民保険番号や本人確認書類、署名などが必要とされています。

ただし、署名が難しい人については、一定の条件の下で署名免除を申請できる仕組みもあります。

また、郵便投票の登録には有効期間があり、対象となる選挙では最大3年間となっています。

つまり、英国では対象を広く認める一方、本人確認や登録の更新によって、制度の安全性を確保しようとしています。

ただし、英国全土で、すべての種類の選挙について同じ手続が適用されるわけではありません。

スコットランド、ウェールズ、北アイルランドでは、選挙の種類によって手続が異なる場合があります。

ここを単純化してはいけません。

では、日本も英国と同じように、誰でも郵便投票できる制度にするべきでしょうか。

私は、直ちにそう結論付けることには慎重です。

日本と英国では、選挙制度も、本人確認の仕組みも、投票用紙の管理方法も異なります。

郵便投票を広げれば、その分、投票用紙を安全に交付・回収する体制が必要になります。

また、自宅で投票する場合には、投票所のように第三者による監視や管理が行われているわけではありません。

本人が誰にも強制されず、自由に投票できる環境をどう確保するかという問題もあります。

それでも、英国の制度から学べる点があります。

投票しやすさと、本人確認・不正防止を、どのような組み合わせで実現するかには複数の制度設計があるということです。

日本の制度も、現在の要件が唯一の方法であると決め付けず、検証を続ける必要があると思います。


8|賛成論と慎重論:郵便投票を広げることの利益と危険

郵便等投票の対象を広げることには、明確な利点があります。

第一に、投票所への移動が難しい人の負担を軽減できる可能性があります。

例えば、投票のために介護者の付き添いや専用の移動手段を必要とする人です。

自宅で投票できれば、そうした負担を減らせるかもしれません。

第二に、入院や施設入所をしていない在宅の人にとって、投票の選択肢が広がります。

第三に、家族や支援者が必要な外出支援を確保できない場合でも、投票できる可能性が生まれます。

しかし、慎重論にも重要な理由があります。

第一は、不正防止です。

郵便投票では、投票所の職員が本人の投票を直接管理するわけではありません。

そのため、他人が本人になりすまして投票することを防ぐ必要があります。

第二は、投票の自由です。

本人が自宅で投票する際、家族などから特定の候補者への投票を強く求められる可能性があります。

もちろん、家族が支援すること自体が問題なのではありません。

本人の意思に反する干渉が問題なのです。

第三は、投票の秘密です。

誰に投票したのかを、本人が望まない形で知られることを防がなければなりません。

第四は、郵送に伴う管理です。

投票用紙が本人へ正しく届くこと。

期限までに返送されること。

紛失や誤配への対応ができること。

これらが必要です。

また、郵便等投票の対象が広がれば、市区町村の選挙管理委員会にも追加の作業が生じる可能性があります。

本人確認。

証明書の管理。

投票用紙の発送。

返送された投票の確認。

こうした業務を、公正かつ確実に行う必要があります。

したがって、単純に対象人数を増やすことだけを目標にするべきではありません。

投票機会を広げながら、選挙の公正と本人の自由な意思を守れるか。

そこまで確認する必要があると思います。


Japan Compass政策提案

「投票制度があるか」から「実際に一票を投じられたか」へ

今回の政策提案では、郵便投票の対象を直ちに広げることを結論にはしません。

また、日本の郵便等投票制度を廃止することも提案しません。

現在の日本には、既に複数の投票方法があります。

まず、それらが実際にどこまで機能しているのかを確認することが重要です。

その上で、Japan Compassは四つの改善を提案します。

提案①|郵便等投票の利用状況を、手続の段階ごとに確認する

第一に、現行制度の利用状況です。

郵便等投票を利用できる人が、実際にどの程度利用しているのか。

必要な証明書は、どの程度交付されているのか。

投票用紙の請求から、実際の投票まで進めているのか。

こうした点を確認します。

ただし、証明書の交付件数と実際の投票件数を同じものとして扱うべきではありません。

証明書を取得していても、選挙によっては投票しない人がいるからです。

また、投票しなかったことが、制度の失敗を意味するとは限りません。

本人が投票しないという意思を持っている場合もあります。

そこで、重要なのは、投票を希望した人が、手続上の問題で投票できなかったかどうかです。

例えば、証明書の交付に時間がかかった場合です。

投票用紙の請求期限に間に合わなかった場合です。

郵送に時間がかかった場合です。

こうした情報を、既存の選挙事務記録からどこまで把握できるかを確認します。

選挙管理委員会の負担を不必要に増やさないことも重要です。

まず、限られた自治体で試行し、必要なデータと調査費用を確認する方法が合理的でしょう。

提案②|要介護3・4などで移動が難しい人の実態を調べる

第二に、郵便等投票の対象要件です。

現行制度では、介護保険の認定だけを基準にすると、要介護5が対象です。

一方、要介護3・4などの人の中にも、投票所へ行くことが難しい人がいる可能性があります。

しかし、どの程度の人が、実際に投票できていないのかは確認が必要です。

そこで、自治体の選挙管理委員会や関係機関が、本人の任意の協力を得ながら、実態を調べる方法を検討します。

例えば、投票所へ行けなかった理由です。

移動手段がなかったのか。

介助者を確保できなかったのか。

体調の問題だったのか。

投票制度を知らなかったのか。

それとも、本人が投票しないことを選んだのか。

こうした違いを明確にします。

重要なのは、要介護3・4の人全員を、投票できない人として扱わないことです。

また、介護度だけで郵便等投票の対象を一律に広げるべきかについても、十分な検討が必要です。

例えば、介護認定では要件を満たさなくても、重い病気によって一時的に外出できない場合があります。

反対に、介護認定があっても、本人が支援を受けて投票所へ行ける場合もあります。

したがって、制度を見直すなら、単純な介護度の区分だけでなく、実際の投票困難の状況をどう判断するかを検討する必要があります。

ただし、その判断が過度に主観的になれば、制度の公平性が損なわれる可能性があります。

私は、まず実態を調べ、その結果に基づいて、公職選挙法の対象要件を見直す必要があるかを議論するべきだと思います。

対象拡大を先に決めるのではなく、現在の対象要件によって誰が困っているのかを明らかにすること。

そこから始めたいと思います。

提案③|事前申請と投票用紙請求の負担を検証する

第三に、手続の問題です。

郵便等投票を利用するには、事前の証明書交付申請が必要です。

さらに、選挙ごとに投票用紙を請求する必要があります。

この二つは、別の手続です。

そこで、対象者がそれぞれの手続を理解し、期限内に進められるかを確認します。

例えば、郵便等投票の対象となる人に対して、事前の証明書取得が必要であることが十分に伝わっているでしょうか。

選挙が始まった後、投票用紙の請求期限を理解できているでしょうか。

郵送にかかる時間を考慮した案内が行われているでしょうか。

また、必要書類の記載方法が分かりにくい場合、どこに相談できるかを明確にする必要があります。

ただし、ここでも本人確認を省略することは提案しません。

公正な選挙を実施するためには、適切な確認が必要です。

また、家族や支援者が手続を手伝う場合でも、本人の意思を尊重しなければなりません。

選挙管理委員会による案内の改善や、書類の分かりやすさ、事前申請の周知など、既存制度の範囲で改善できる部分から検討することが重要だと思います。

提案④|対象を広げるなら、投票の秘密と本人確認を同時に検証する

第四に、制度の見直しです。

仮に、要介護3・4などの一部について、郵便等投票の対象を広げる必要があると判断されたとします。

その場合、対象範囲の変更だけを議論するべきではありません。

本人確認の方法。

投票用紙の交付と回収。

投票の秘密。

代理記載の要件。

不正が疑われる場合の対応。

こうしたものを、同時に検証する必要があります。

重要なのは、投票しやすくするために、投票の自由を弱めてはいけないということです。

例えば、自宅で投票できるようになったとしても、家族などに特定の候補者への投票を強制される状況が生まれれば、制度の目的が損なわれます。

一方、不正防止を重視し過ぎて、身体的に困難な人が利用できない複雑な手続にすれば、投票機会を広げる意味がなくなります。

この二つの間には、難しい調整が必要です。

また、対象要件を変更する場合には、公職選挙法の改正が必要になります。

自治体の判断だけで、現在の対象要件を自由に変更できるわけではありません。

そのため、まずは現行制度の運用状況を確認し、必要な改善を進めます。

そして、法改正が必要だと判断された場合には、国会で具体的な制度設計を議論することを提案します。

その際には、選挙管理委員会の実務負担や郵送に必要な費用についても、事前に試算する必要があります。


財源・実施主体・制約

今回の提案では、新しい全国的な選挙管理組織の設立を前提にしません。

現在、日本には総務省、都道府県選挙管理委員会、市区町村選挙管理委員会などによる選挙管理の仕組みがあります。

今回の検証は、まず、この既存の体制を活用することを前提にします。

中心となる実施主体は、選挙を管理する選挙管理委員会です。

対象要件の制度的な見直しについては、国による法制度の検討や国会での議論が必要になります。

一方、介護や障害に関する実態を確認する場合には、福祉分野の知見も参考になるでしょう。

ただし、ここで重要な制約があります。

介護支援専門員や福祉職員に、選挙の公正を管理する責任を安易に移すべきではありません。

専門職には、それぞれ本来の仕事があります。

また、利用者との信頼関係を利用して、政治的な意思決定へ介入することは許されません。

必要なのは、制度の利用方法に関する中立的な情報提供と、本人の意思の尊重です。

個人情報の取扱いにも注意が必要です。

選挙人名簿に関する情報。

障害や介護認定に関する情報。

投票したかどうかに関する情報。

これらを、目的を明確にせず結び付けて管理するべきではありません。

特に、誰に投票したかという情報については、厳格な秘密保護が必要です。

制度評価のためであっても、投票先に関する情報を収集する必要はありません。

財源については、今回の提案を二つに分けて考える必要があります。

一つは、既存制度の利用状況を確認するための費用です。

これは、現在の選挙事務記録の整理、任意調査、自治体の実務分析などが中心になります。

もう一つは、対象要件を変更した場合の追加費用です。

例えば、郵便等投票の対象者が増えれば、証明書の交付、投票用紙の発送・回収、本人確認、問い合わせ対応などの業務が増える可能性があります。

ただし、全国で対象者が何人増えるのかについて、今回確認した資料だけでは算定できません。

そのため、根拠のない全国予算額は提示しません。

まず、対象となる可能性がある人の人数と、必要な選挙事務を確認することが先です。

また、郵便投票以外の方法を改善する方が合理的な地域もあるかもしれません。

例えば、投票所へのアクセスを改善する。

期日前投票の利用環境を整える。

指定施設での不在者投票を適切に実施する。

こうした方法です。

地域によって、人口構造や交通事情、施設の配置は異なります。

そのため、郵便投票だけを唯一の解決策にするべきではありません。

重要なのは、制度の名称や設備の数ではなく、有権者が実際に投票できる機会を確保することです。

そして、どの方法を採用する場合でも、選挙の公正と秘密を守る必要があります。


2035ロードマップ

2026~2027年|既存制度の利用状況を確認する

まず、郵便等投票、指定病院等での不在者投票、投票所での代理投票など、既存の制度について利用状況を整理します。

全国で統一的に把握できるデータと、自治体ごとに保有しているデータを区別します。

その上で、郵便等投票証明書の交付から、実際の投票までの手続を確認します。

重要なのは、制度を利用しなかった人を、すべて投票困難者として扱わないことです。

本人の自由な意思を尊重しながら、制度上の問題によって投票できなかった事例を把握できるかを検討します。

2027~2029年|移動が難しい有権者の実態を調べる

次に、要介護3・4などの人を含め、投票所へ行くことが難しい人の状況を調べます。

ただし、介護度だけで投票困難を判断することはしません。

実際の移動能力や生活環境、利用できる支援などを考慮します。

また、障害のある人や若い世代にも、投票所へ行くことが難しい場合があります。

年齢によって対象を限定せず、実際の投票機会を確認することが重要です。

調査では、本人の任意の協力を基本とします。

回答しない自由も尊重します。

2029~2031年|必要な制度改善を選別する

調査によって明らかになった問題を、原因ごとに整理します。

制度を知らなかったことが原因であれば、案内方法を改善します。

手続が難しいことが原因であれば、分かりやすさや支援方法を検討します。

投票所への移動が問題であれば、既存の投票方法で対応できるかを確認します。

郵便等投票の対象要件そのものが問題であると確認された場合には、法改正の必要性を検討します。

ただし、法改正の前には、本人確認や投票の秘密、不正防止などについて十分な検証が必要です。

2031~2033年|選挙の公正と利用しやすさを検証する

制度を改善した場合には、その効果を確認します。

例えば、郵便等投票を利用できる人が増えたとしても、投票用紙の紛失や手続上の問題が増えていないかを確認する必要があります。

また、代理記載などについて、本人の意思を守る仕組みが適切に機能しているかも重要です。

ただし、選挙の秘密を侵害するような調査は行うべきではありません。

必要な情報を限定し、個人情報を保護した上で評価することが必要です。

2033~2035年|身体的な事情で一票を諦めなくて済む社会へ

2035年に目指したいのは、郵便投票の利用者数を最大化することではありません。

また、すべての人が同じ方法で投票する社会でもありません。

投票所へ行ける人は、投票所で投票する。

期日前投票を利用したい人は、それを選ぶ。

施設で不在者投票を利用できる人は、適切な手続で投票する。

そして、身体的な事情によって投票所へ行くことが難しい人にも、本人の意思を守りながら利用できる方法を確保する。

投票するかどうかは本人が決められる。そして、投票したいときには実際に投票できる。

そのような社会を目指したいと思います。


2035日本再設計白書での位置付け

今回の#081は、第十部「日本の未来」に位置付けます。

関連する横断テーマは、人口、高齢化、障害者支援、行政、民主主義です。

これまでのJapan Compassでは、民主主義や政治制度に関する複数の問題を取り上げてきました。

#035では、行政のデジタル化と、必要な支援を国民へ届ける仕組みを検討しました。

#067では、政治資金の透明性について考えました。

#076では、まだ選挙権を持たない子どもや未来世代の利益を、現在の政策決定にどのように反映するかを検討しました。

今回の#081は、それらとは異なります。

政治資金の問題でもありません。

行政手続のデジタル化を目的とするものでもありません。

まだ生まれていない人や、選挙権を持たない子どもの利益を、どのように代表するかという問題でもありません。

既に選挙権を持つ人が、実際にその権利を行使できているか。

ここが今回の中心です。

日本では、人口構造が変化しています。

高齢化が進んでいます。

一方、障害や病気などによって投票所へ行くことが難しい人は、年齢に関係なく存在します。

そのため、選挙制度を考える際には、単純に高齢者の人数だけを基準にするべきではありません。

重要なのは、投票機会の保障です。

また、投票する権利には、投票しない自由も含まれます。

政府や自治体が、投票を強制することはできません。

政治的な意思決定は、本人の自由です。

しかし、投票したいという意思があるのに、制度や環境の問題によって投票できないのであれば、それは検証するべき課題だと思います。

2035年の日本では、今よりさらに人口構造が変化している可能性があります。

その社会においても、民主主義を支える基本的な権利を、実際に行使できる状態にしておく必要があります。

第十部「日本の未来」では、制度の存在だけでなく、国民がその制度を現実に利用できるかという問題も考えていきます。


今日の提言

私は、今回の問題を考えるとき、一つ大切にしたいことがあります。

それは、選挙権は、若い人だけのものでも、健康な人だけのものでもないということです。

18歳で選挙権を得た人がいます。

30歳で働きながら投票する人がいます。

子育てをしながら投票する人もいます。

70歳になっても、80歳になっても、日本の政治について考え、投票する人がいます。

そして、身体に障害のある人も、病気の人も、政治について自分の意思を持っています。

私は、その人たちの意思を尊重することが、民主主義の基本だと思います。

もちろん、投票しないという選択も自由です。

政治に関心がない人がいても、それを責めるべきではありません。

しかし、投票したいのに投票できないことは、別の問題です。

例えば、長年選挙に参加してきた人がいるとします。

その人が、身体の自由が利かなくなったことで投票所へ行けなくなったとします。

政治に対する考え方は変わっていません。

自分の意思もあります。

ただ、投票所へ行くことだけが難しくなったのです。

そのとき、日本の選挙制度は、その人の一票をどこまで守れるでしょうか。

郵便等投票の対象であれば、自宅などから投票できます。

しかし、介護保険の認定だけでは、要介護5という要件があります。

要介護4で外出が極めて難しい場合でも、ほかの要件を満たさなければ、この制度を利用できません。

もちろん、そこには制度上の理由があります。

本人確認。

不正防止。

投票の秘密。

どれも欠かせません。

私は、その重要性を軽視するべきではないと思います。

しかし、だからこそ、現在の要件が本当に適切なのかを確認する必要があるのではないでしょうか。

対象を広げた方がよいのか。

既存の投票方法を改善する方がよいのか。

それとも、別の方法が必要なのか。

答えは、一つとは限りません。

重要なのは、現実を確認することです。

私は、制度を変える前に、まず実際に困っている人がどれだけいるのかを知る必要があると思います。

そして、その人たちがなぜ投票できなかったのかを確認することです。

手続が難しかったのか。

制度を知らなかったのか。

移動手段がなかったのか。

あるいは、現在の制度では対象にならなかったのか。

理由によって、解決方法は異なります。

もう一つ、私が重視したいことがあります。

それは、投票の自由を守ることです。

郵便投票を広げれば、投票しやすくなる人が増えるかもしれません。

しかし、自宅で投票する場合には、本人の自由な意思をどう守るかという課題も生まれます。

家族が善意で手伝うことはあるでしょう。

しかし、本人の意思を無視して、特定の候補者へ投票させることは許されません。

投票を支援することと、投票する人の意思を決めることは、違うからです。

私は、どちらも守る必要があると思います。

投票したい人が投票できること。

その一票が、本人の自由な意思によって投じられること。

この二つを、同時に実現する制度でなければなりません。

2035年の日本を考えるとき、民主主義は、選挙の結果だけで評価されるべきではないと思います。

その選挙に、誰が参加できたのか。

そして、参加したいと思った人が、本当に参加できたのか。

そこまで考える必要があるのではないでしょうか。


読者への問い

最後に、少し想像してみてください。

あなたが80歳になったとします。

日本の政治について、今と同じように関心を持っています。

自分なりの考えもあります。

支持する政策もあります。

しかし、身体の自由が利かなくなりました。

一人で外出することが難しくなっています。

選挙が近づいてきました。

あなたは、今回も投票したいと思っています。

ところが、自分の介護認定では郵便等投票の対象にならないことが分かりました。

投票所へ行くには、家族や支援者の協力が必要です。

しかし、選挙の日に、その支援を確保できるか分かりません。

そんな状況になったら、どう感じるでしょうか。

「仕方がない」

と思うかもしれません。

「もう選挙へ行くのは諦めよう」

と思うかもしれません。

しかし、私は、そこで考えることをやめたくありません。

その人は、投票する権利を持っています。

自分の意思もあります。

ただ、投票所へ行くことが難しいだけなのです。

もちろん、郵便投票を誰でも自由に利用できるようにすれば、すべてが解決するわけではありません。

本人確認が必要です。

投票の秘密も必要です。

不正防止も必要です。

自治体の選挙管理体制にも、負担が生じる可能性があります。

だからこそ、丁寧に検証する必要があります。

しかし、投票所へ行けない人がどれだけいるのかも分からないままでは、制度が十分なのかを判断できません。

私は、まず、その現実を知ることから始めるべきだと思います。

日本では、高齢化が進んでいます。

人口の構造も変化しています。

そして、身体に障害のある人や、病気によって外出が難しい人もいます。

そのような社会で、選挙制度だけが、健康で自分で移動できる人を前提としたままでよいのでしょうか。

もちろん、既存の制度には、さまざまな配慮があります。

代理投票。

点字投票。

期日前投票。

指定施設での不在者投票。

郵便等による不在者投票。

これらは、大切な仕組みです。

しかし、制度が存在することと、必要な人が実際に利用できることは、同じではありません。

だからこそ、私は、2035年の日本に向けて、この問題を考えていきたいと思います。

最後に、読者の皆さんへ一つ質問があります。

あなたは、投票所へ行くことが難しい人について、郵便投票の対象を広げるべきだと思いますか。それとも、現在の制度を維持しながら、投票所への移動や既存の投票方法を改善するべきだと思いますか。

そして、どちらを選ぶ場合でも、本人の自由な意思と投票の秘密を、どのように守るべきなのでしょうか。

民主主義とは、ただ選挙を行うことではありません。

一人ひとりの意思が、自由に表明できること。

そして、その意思を表明する機会が、実際に確保されていること。

私は、それも日本の未来を考える上で欠かせないことだと思います。


データ出典・参考資料

1.総務省統計局「人口推計」

2026年10月20日公表。

2026年5月1日現在の確定値として、総人口1億2,281万2千人、65歳以上人口3,622万7千人、75歳以上人口2,156万4千人を確認しました。

2026年10月1日現在の総人口1億2,269万人は概算値です。

本稿では、高齢者人口を郵便等投票の対象者数や投票困難者数として扱っていません。

https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html

2.印西市選挙管理委員会「郵便等投票制度」

2026年1月13日更新。

郵便等による不在者投票の対象条件、身体障害者手帳・戦傷病者手帳の障害区分、要介護5の要件、郵便等投票証明書の申請方法、代理記載制度の要件について確認しました。

制度が存在することと、対象者が実際に利用していることを区別しています。

https://www.city.inzai.lg.jp/0000009378.html

3.大阪府選挙管理委員会「投票するには」

2024年6月17日更新。

通常の投票、点字投票、代理投票、期日前投票、不在者投票など、日本に既に存在する投票方法について確認しました。

投票所での代理投票と、郵便等投票における代理記載制度は、異なる仕組みとして扱っています。

https://www.pref.osaka.lg.jp/o190010/senkan/seido/seido-02touhyou.html

4.新宿区選挙管理委員会「郵便等投票等のご案内」

2026年1月17日更新。

2026年2月8日実施の衆議院議員総選挙について、郵便等投票の投票用紙請求が投票日の4日前までに必着とされていたことを確認しました。

また、郵便等投票の代理記載制度についても確認しました。

https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/senkyo01_06_00001.html

5.鳥取市選挙管理委員会「指定病院等における不在者投票事務」

2026年10月1日更新。

都道府県選挙管理委員会が指定した病院や老人ホームなどで、不在者投票ができることを確認しました。

施設内での投票には、所定の手続と管理体制が必要です。

https://www.city.tottori.lg.jp/page/20706.html

6.英国選挙管理委員会「Eligibility to vote by post」

英国イングランドにおける郵便投票について、有権者が特別な理由を示さずに郵便投票を申請できることを確認しました。

日本の郵便等投票とは対象条件が異なります。

https://www.electoralcommission.org.uk/running-electoral-registration-england/absent-voting/postal-voting/eligibility-vote-post

7.英国政府「Apply for a postal vote」

英国の郵便投票について、申請方法、本人確認、署名、署名が難しい場合の取扱い、申請期限などを確認しました。

英国の郵便投票を、本人確認や申請手続のない制度として扱っていません。

https://www.gov.uk/apply-postal-vote

8.英国選挙管理委員会「Postal voting」

郵便投票の登録期間、選挙の種類や地域による制度の違い、投票用紙の返送期限などを確認しました。

英国では選挙の種類によって手続が異なるため、全国一律の仕組みとして単純化していません。

https://www.electoralcommission.org.uk/voting-and-elections/ways-vote/postal-voting

9.Japan Compass #076「まだ生まれていない人の利益を、誰が守るのか」

2026年10月17日公開。

現在の選挙に参加できない子どもや、まだ生まれていない未来世代の利益を政策決定にどう反映するかを検討した関連号です。

今回の#081では、既に選挙権を持つ有権者の投票機会という別の論点を扱いました。

https://japancompass.jp/2026/10/17/japan-compass-076/


資料確認上の留意事項

本稿は、2026年10月22日時点で確認できる総務省統計局、国内の選挙管理委員会、英国政府、英国選挙管理委員会などの公的資料に基づいています。

2026年5月の高齢者人口は確定値です。ただし、75歳以上人口を郵便等投票の対象者数や投票困難者数として推計することはしていません。

また、要介護3・4の人が全国で何人投票できなかったのかについて、今回確認した資料から正確な人数を把握することはできませんでした。

したがって、対象拡大によって投票率がどれだけ改善するかについて、根拠のない推計値は提示していません。

郵便等による不在者投票、代理記載制度、指定病院等での不在者投票は、日本に既に存在している制度です。

Japan Compassの独自提案は、これらを新しく創設することではありません。

既存制度の対象要件と実際の投票困難の状況を比較し、必要な場合には投票の秘密と公正を維持しながら制度改善を検討することです。

郵便等投票の対象要件を拡大する場合には、公職選挙法の改正や実施体制の検討が必要になります。

対象要件の拡大を、既に決定された政府方針として扱うものではありません。


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